この記事はこんなピアノ教室は嫌だ - 甘辛こちゅい の続編です。
2019年1月4日、冬休みのピアノ教室に先生とCさんがいました。
先生とCさんはコンクールに持っていく曲について話し合っていました。
「年末年始はどうやった?」先生に尋ねられたCさんは目を泳がせながらいいました。「まあまあですね」
実はCさんは実家に帰る際、キーボードを自宅に置いてきてしまい、iPhoneのピアノアプリと実家のキーボードで練習をしていたのです。
「じゃあこんな感じで練習しといてください。あと録音してチャットで送ってください、聞くから」そう言って先生は会合のためドイツに行ってしまいました。
Cさんはそれからたくさんの練習をしました。そして録音をして先生にチャットしました。先生からの返事はひとことでした。「わからない」
Cさんには幸い、たくさんの先輩がいました。先輩からのアドバイスをもらい、なんとか形に仕上げました。
コンクール出場には審査があります。Cさんは不安な気持ちのままコンクール運営局に録音を提出しました。
一週間後コンクール運営局からコンクール出場が決定したというメールが来ました。Cさんは大喜びです。しかし教室の発表会も近づいています。Cさん必死の準備が始まります。
2月、発表会まで残り3日となりました。
Cさんは先生に最終チェックをお願いしました。しかし先生は発表会まで残り3日であることをすっかり忘れていました。「え〜!残り3日!?ゲームオーバーだ...」Cさんは残り3日にして、先生からゲームオーバーを宣告されてしまいました。
発表会当日、Cさんの出番は午前10時30分でした。できるだけ上手に見えるように、身だしなみをしっかり整えて会場に向かいました。
会場には他のピアノ教室の先生、生徒さんもたくさん来ていました。ピアノ教室の先輩がみんなで応援に来てくれました。
ついにCさんの演奏です。緊張はしていましたが、なんとか大きな失敗もなくCさんの演奏がおわりました。
発表会が終わり、まわりはお疲れ様という雰囲気になっていましたが、Cさんにはまだコンクールに向けた練習が残っています。
2月も下旬に差し掛かった頃、先生にコンクールの曲を聞いてもらいました。「よくなってきたね、うちの教室でピアノ続けたら?」先生はCさんに言いました。Cさんは少し嬉しくなりましたが、すぐにやっぱり続けるのは遠慮しようかなと思いました。
3月、コンクールのため先生とCさんと先輩は長崎に向かいました。
コンクールは発表会と異なり、全国から関係者が集まります。Cさんは初めてのコンクールで緊張していました。コンクールでは終日演奏があり、Cさんはたくさんの演奏を聞きに行きました。合間を縫って先生と最終チェックを行い、最後の最後まで調整は続きました。
ついにCさんの演奏になりました。発表会より小さな会場でしたが、その分お客さんや審査員の方の顔が見え、Cさんは平常心を保つことに必死でした。
演奏は最後の方に少しミスがありましたが、なんとか終えることができました。
コンクールの結果発表は一番大きなホールで行われました。
各部門から1名ずつ奨励賞が選ばれます。Cさんは最後の方にミスがあったため、期待していませんでした。結果発表の間、長崎のお土産は何を買おうかと悩んでいました。
結果発表はテンポよく進んでいき、Cさんが演奏した部門の順になりました。スクリーンに映し出された奨励賞の名簿に、なんとCさんの名前がありました。Cさんはとても驚きました。
壇上にあがり、コンクールの運営局から賞状をもらいました。嬉しい気持ちと達成感でいっぱいでした。
Cさんは1番にお母さんとお父さんに連絡しました。2人ともとても喜んでくれました。コンクール会場を後にするとき、先生に挨拶をしました。「先生、ありがとうございました」「おめでとう、粘り勝ちだね」
それから飛行機までの時間、ハウステンボスに遊びに行ったりお土産を買ったりしてCさんはとても楽しい時間を過ごしました。
コンクールから帰ってきたCさんはまだピアノ教室にいました。演奏を録音する作業が残っていたのです。録音したデータをコンクールとピアノ教室の本棚に置いてようやくCさんは卒業することができます。
そして、ピアノ教室のみんなでディズニーランドに遊びに行きました。先輩も後輩も一緒に遊びに行くのは稀なのだそうです。また、AさんBくんCさん3人で仙台に旅行に行きました。おいしい海鮮と美しい景色でとても楽しいひとときでした。
1年間通ったピアノ教室では辛かった思い出も楽しかった思い出もたくさんできました。
春になりました。2019年は3月のうちに桜が満開になりました。卒業する生徒さんも多いですが、今年は新しく6人の生徒さんがピアノ教室に入学しました。ピアノ教室から今日もピアノの音が聞こえてきます。
<おわり>